ChatGPTの機能「Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter)」の使い方と5つの活用事例、プロンプトのテンプレートを紹介

2023年7月7日に、ChatGPTの応用機能である「Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter)」が公開されました。

ChatGPT上でPythonのコードを実行できるようになり、これまで以上にChatGPT活用の選択肢が拡がったといえます。

また2023年8月29日に名称が変更され、Advanced Data Analysisという名前に代わりました。

ChatGPT講師 野沢先生

でも普段「Python」を使わない方や、エンジニアの知識を持たない方の中には、何が便利になったのかいまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか。

この記事では非エンジニアの方にもわかりやすく、Advanced Data Analysisで何が便利になるのか、実際の活用事例とプロンプトテンプレート、使用上の注意点について解説します。

目次

Advanced Data Analysisとは?

Advanced Data AnalysisはChatGPTの応用機能です。

これまで一部海外でのみ公開されていた機能ですが、先行利用していたの評価がかなり高く、2023年7月7日に一般公開されました。現在日本でも使用が可能です。

Advanced Data Analysisでできること

Advanced Data Analysisでできるようになったことは大きく2つです。
・Python(パイソン)のコードをChatGPT上で「実行」できるようになった
・ファイルのダウンロード、アップロードができるようになった

複数のシートに分かれているリストを1つに統合する」「データクレンジング済のテーブルからデータ分析を行いグラフ付きのレポートを作る」「パワーポイントで作ったチラシをもとに集客用のメール文を作成する」など、Excel、PowerPointを使った時間のかかる作業を依頼できるイメージです。

ChatGPT講師 野沢先生

ChatGPTとは関係なしに、もともとPythonを使えばExcelをファイルの編集することができました。

その一連の操作をChatGPTが代わりにやってくれているというイメージです。

ChatGPTに質問してみた

「Advanced Data Analysisでできること」を実際にChatGPTにも質問してみました。

Advanced data analysis記事1
ChatGPT講師 野沢先生

わかりやすく例えるなら「プログラミングに詳しくて、実行までやってくれるChatGPT」というイメージですね。

記事の後半では、Advanced Data Analysisを使って以下の業務を自動化するプロンプトを紹介しています。
複数シートに分かれたリストを統合する
・パワポで作ったチラシから集客用メール文案を作成する
データ分析とレポートを作る
現状の数値から適切なモデルで未来予測をする

Advanced Data Analysisの導入方法

Advanced Data Analysisを使うためには、月額20ドルの有料版ChatGPTに登録する必要があります。

ChatGPT Plusと無料版の比較表

比較項目ChatGPT Plus(有料版)無料版
料金月額20ドル無料
搭載言語モデルGPT-4・GPT-4oGPT-3.5・GPT-4o(回数制限あり)
パラメータ数推定5000億~1兆個3550億個
情報の最新性GPT-4:2023年12月
GPT-4o:2023年10月
GPT-3.5:2022年1月
GPT-4o:2023年10月
Advanced Data Analysisの利用可能不可能
Custom Instructionsの利用可能可能
アクセス制限なし混雑時に制限あり
反応速度速い速い(混雑時はやや遅い)
ブラウジング機能 ※可能可能
画像やグラフィックの認識 ※可能可能
データ分析 ※可能可能
ファイルのアップロード ※可能可能
既存GPTsの利用 ※可能可能
(新しいGPTの作成は不可)
部分指定機能(Reply機能)可能可能

※Custom Instructionsの利用はChatGPTのPlusユーザー(有料会員)に限定されていましたが、一部の地域を除いて2023年8月9日に無料ユーザーも利用できるようになりました。
※印の機能は、ChatGPT-3.5でも新たに使用できるようになった機能です。(2024年6月10日時点)
また、ChatGPTの新機能として部分指定機能(Reply機能)が追加になりました。(2024年6月10日時点)

無料版のChatGPT-3.5は会員登録しなければ使用することができませんでしたがアップデートに伴い、ChatGPT-3.5は会員登録しなくても利用できる仕様になりました。(2024年6月7日時点)

また、ChatGPTの全てのモデル部分指定機能(Reply機能)が追加されました。(2024年6月10日時点)
ChatGPTが回答した内容の選択部分に対して、追加でプロンプトの送付が可能です。
ChatGPTが出力した回答内容をもっと詳しく知りたい場合や、内容をさらに発展させる場合に使えます。

改めて質問する時間や手間など、従来のプロセスが省けるため、業務の生産性が向上するでしょう。

なお、ChatGPT-4は有料プランにしなければ使えないものの、ChatGPT-3.5と比べると使える機能の幅が広く得られる情報が最新であることが分かります。

※ChatGPTの公式サイトに遷移します

ChatGPT講師 野沢先生

ChatGPTを実務で使う人には有料版へのアップグレードをおすすめしています。

具体的なメリットや課金方法は以下の記事にまとめています。

有料版ChatGPTを契約したら、「設定」を開きます。

「Beta features」のタブ内にあるAdvanced Data AnalysisをONにすれば完了です。

Advanced data analysis(旧Code Interpreter)の使い方

ChatGPTアップデート後の導入方法

ChatGPTのアップデート後、Advanced Data AnalysisはChatGPTのデフォルト機能となりました。
そのため、Advanced Data Analysisをわざわざ導入する手間が省かれ、Advanced Data Analysisがさらに使いやすくなりました。

Advanced Data Analysisの使い方

Advanced data analysis(旧Code Interpreter)の使い方

「GPT-4」の機能の1つとして、Advanced Data Analysisがあります。上の画像のようにAdvanced Data Analysisにチェックマークがついていることを確認してください。

Advanced Data Analysisでは、チャット欄に「+マーク」が表示され、ファイルをアップロードできるようになります。

ChatGPTアップデート後の使い方

ChatGPTのアップデート後、Advanced Data AnalysisはChatGPTに組み込まれた機能に進化しました。
Advanced Data Analysisを設定する時間が省かるため、より効率的にAdvanced Data Analysisが利用できるようになりました。

Advanced Data Analysisで「Excelで複数のリストを統合」するプロンプト

ChatGPT講師 野沢先生

動画のように複数のシートに分かれているリストを、1つのシートに統合する作業をAdvanced Data Analysisに頼むことができます。

#お願い
「選手名簿一覧」シートの項目に従って、各サッカーチームのシートの情報を1シートに結合し、Excelファイルで出力してください

#目的
シートが分散しているので、1シートのテーブルに統合したい

#ルール
「選手名簿一覧」シート以外のシートの1行目のデータはタイトル情報なので、マージしたシートには含めないでください

#出力
Excel形式で出力

上記のプロンプトに合わせて、統合したいExcelファイルを添付してください。

結果は以下のようになります。

Advanced Data Analysisで「パワポのチラシからメール文案を作る」プロンプト

ChatGPT講師 野沢先生

画像のように、イベントのチラシデータから集客用メール文案の作成をAdvanced Data Analysisに頼むことができます。

#お願い
添付ファイルの内容をもとに、ハロウィンイベントの概要を伝えるメール文章を作成してください

#目的
たくさんの方にイベントに興味を持ってもらい、参加してもらうことが目的です

#出力
メール文章として出力

上記のプロンプトに合わせて、参照するチラシデータを添付してください。
※PDFではなくpptxファイルで添付してください

結果は以下のようになります。

プロンプト_イベントの集客用メール文案

Advanced Data Analysisで「データ分析・レポート作成」をするプロンプト

#お願い
あなたはプロのデータサイエンティストです。
添付のデータを読み取り、データ分析をしてください。
分析結果は日本語で出力してください。

#目的
添付のデータを基に5観点くらいで分析結果を報告したい。

#情報
・「添付するファイル名」:ファイルの内容
・「添付するファイル名」:ファイルの内容
・NotoSansJP-VariableFont_wght.ttf:日本語フォント

#ルール
・分析設計はあなたが行ってください。
・分析の実施はは都度こちらへの確認は行わず、すべて実行してください。
・グラフ内で日本語を使用する場合は添付の日本語フォントを使用してください。

#出力
・分析概要、結果、詳細情報を記述してください。
・必要に応じてグラフ化してください。

添付するExcelファイルは複数選択できます。

ChatGPT講師 野沢先生

それぞれファイル名とファイルに書かれている内容を#情報に記入してご活用ください。

結果は以下のようになります。

分析結果-熱中搬送の傾向

Advanced Data Analysisで「現状数値から未来の数値を予測」するプロンプト

#お願い
あなたはプロのデータサイエンティストです。
・添付の過去のデータを読み取り、〇〇のデータからモデルを5パターン作成してください

・結果をExcelファイルで出力して下さい。

#目的
過去のデータから将来の予測モデルを作成したい。

#情報
・「添付するファイル名」:ファイルの内容
・「添付するファイル名」:ファイルの内容
・「添付するファイル名」:ファイルの内容
・「NotoSansJP-VariableFont_wght.ttf」:日本語フォント

#ルール
・未来予測については5種類の回帰モデルを用いてください。
・どの回帰モデルを用いるかはおまかせします。
・実施の確認等は必要ないです。返信を待たずに実行をしてください。

#出力
・日本語で出力してください。
・Excel形式で出力してください。
・別シートに各モデルの評価と結果も記載してください。

上記のプロンプトに添付ファイルの情報だけ入力してご使用ください。

ChatGPT講師 野沢先生

5つの回帰モデルを計算し、もっとも信頼できるモデルを選定した上で未来の数値予測をExcelファイルで出力してくれます。

結果は以下のようになります。

プロンプト:現状の数値から未来の数値を予測
ChatGPT講師 野沢先生

出力されたExcelファイルは以下のとおりです。

ChatGPT講師 野沢先生

それぞれの予測モデルの精度と結論は、ChatGPTに質問すれば教えてくれます。

Advanced Data Analysisの使い方のコツと注意点

テキストで書くより、リストにしてExcel添付したほうがエラーが少ない

「#情報」に書く内容は、テキストでベタ打ちするよりもExcelでリストにまとめて添付したほうがエラーが少なくなる印象です。

ChatGPT講師 野沢先生

テキストよりもExcelファイルで渡したほうが、読み取るPythonのコードがシンプルになり、それがアウトプットに影響しているのかもしれません。

#ルールに「次の手順を聞き返さずに進んで下さい」と書く

このルールを書かないと、エラーが出たり、工程が1つ終わるごとに返答を求めてくることがあります。

ChatGPT講師 野沢先生

「次の手順を聞き返さずに進んでください」と書くだけで、
エラーが出ても自分で直してくれますし、作業設計も自分で組み立てて結論まで出してくれるようになります。

添付Excelの「データクレンジング」は人間が行ったほうが正確

データテーブルを見やすくデータ分析可能な状態に整える「データクレンジング」は、Code Interpreterも一部やってくれますが、精度はあまり良くありません。

ChatGPT講師 野沢先生

2023年8月現在では、分析に慣れた方が手作業で行ったほうが速く、完成度も高いです。

プロのデータ分析技術については、ExcelCampにお越しください。

PDFの内容を読み取るのは苦手

Python(パイソン)でPDFファイルの読み取りは可能ですが、Advanced Data AnalysisではExcelかPowerPointファイルのほうが精度が高いように感じます(2023年8月時点)。

ChatGPT講師 野沢先生

また今後改善される可能性も、PDFファイルでも読み取りがうまくいく可能性もあります。

出力されたファイルは数日後ダウンロードできなくなる

アウトプットされたファイルは数日立つとダウンロードができなくなります

生成されたフォルダはなるべくその日中に確認しておくことをおすすめします。

機密情報・個人情報の取り扱いには注意

公式サイトでは機密情報の取り扱いについてOpenAI社は細心の注意を払っているという旨の記載がありますが、原則第三者に提供できない情報はAdvanced Data Analysisにも提供しないことをおすすめします。

ChatGPT研修「BotCamp」の特徴

BotCampバナー

わたしたちが提供する「BotCamp」は、ChatGPT研修の使い方を初心者から学べる研修です。

・日々登場する新しいAIツールやGPTsに、インプットが追いつかない
・AIツールの選択肢が多すぎて、自分にとって最適なツールを見つけられない
・生成系AIが仕事にどう役立つのか、あまりイメージできない
・すでに業務にAIを取り入れているが、使い方が適切なのかわからない
・時間をかけて学習しても、投資対効果がよいのか分からない
・プロンプトエンジニアリングって難しそう。とっつきづらく感じている

このようなお悩みをお持ちの方におすすめです。

BotCampの特徴1:プロンプトを難しく考えずシンプルに捉える

生成AIからのアウトプットの質を高めるコツは、指示文を「端的に・具体的に」書くことです。

だらだらと長く書く必要はありません。プログラミングやシステムエンジニアリングのように、用語めいた難しい言葉を使う必要も一切ありません。

プロンプトエンジニアリング」と聞くとやや学術的で高度な技術的理解が必要な印象を受けるかもしれませんが、Prompt Simpleという考え方で、誰でも最小限の労力で最大限AIパワーを活用する方法をお伝えします。

BotCampの特徴2:便利なGPTsを厳選して紹介

GPT storeにて日々増え続ける膨大なGPTsのうち、業務改革のインパクトが大きく重要なGPTsを厳選して紹介します。

業務の種類ごとに、どのGPTを使うべきか自分で考え判断できる応用力を身につけることができます。

BotCampの特徴3:Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter)で「一億総データサイエンティスト」に

CSV、PDFなどのデータをアップロードした上で、ChatGPT上でPythonのコードを生成・実行できる機能「Advanced Data Analysis」を活用し、高度な専門性がなくても誰もがデータサイエンティストのようなモデル作成、データの予測ができるようになります。

BotCamp開催概要

開催日程研修内容ページを確認
研修時間9:00~17:00もしくは10:00-18:00
開催形式対面のみ(オンライン参加不可)
会場水道橋開催の場合
コンフォート水道橋
東京都千代田区神田三崎町2-7-10 帝都三崎町ビル 2階,5階
https://www.relo-kaigi.jp/comfort-suidoubashi/access/

神田開催の場合
BIRTH KANDA
東京都千代田区神田錦町1-17-1 神田髙木ビル7F
https://birth-village.com/
備考・ChatGPT(GPT-4)が入ったWindowsPCをお持ちください
・推奨のOSはWindowsです。Macでの受講はご遠慮ください。
・セキュリティ上ChatGPTが使えないPCでの受講はご遠慮ください。